Summer Intern

インターン体験記 – N.K.氏

米系コンシューマー・医療機器メーカー日本法人にて

はじめに

2003年5月末より8月中旬までの12週間、コンシューマー及び医療機器メーカーであるX社にてサマーインターンを経験した。私が所属したのは、X社メディカル部門の日本オフィス・マーケティング部である。私が実際に従事したプロジェクトの詳細をここに述べることは出来ないが、その概要は以下の通りである。

1. 既存製品のリポジショニング
2. リリース予定の新製品の導入プランの作成
3. 既存製品の新しい分野への応用の可能性の調査

これら3つの観点から、ドクターへの調査を行い、それぞれに対してのRecommendationを作成し、最後にマネージメントへのプレゼンを行った。これからMBAを受験される方、また在学中のインターンを志望される方の参考になればと考え、私の体験を以下にまとめる。

第1週-第4週

期待と緊張の入り混じった気持ちで初出社日を迎える。初日は、人事部でオリエンテーションを受ける。勤務時間表の記入、経費生産の方法などである。社員証を受け取った後、自分の職場へ案内され、インターン期間中のスーパーバイザーや、部のDirectorを紹介される。最初の数週間は、トレーニング期間であり、その内容は解剖学や製品教育、または所属部門のビジネス概要と多岐に及ぶ。印象に残ったのは、トレーニングが非常に体系化されており、自分のようなメディカル関連の知識がない人間にも、理解できるようになってる点である。実際にマーケティング部のプロダクトマネージャーの方達でも、他業種から中途でX社に入社し活躍されている方も多い。

最初の2週間が過ぎた頃に、アメリカ本社のInternational Recruitingとの電話ミーティングがある。この部署は世界各国のX社インターンのいわば窓口となっており、初回のミーティングにおいては、自分が所属する事業部のビジネスから、卒業後の進路までと幅広くディスカッションする。同時に、全インターンの所属と連絡先をまとめたリストが送付され、国や学校、社内でのカンパニーを超えて、インターン同士で積極的に交流が出来るようになっている。

トレーニング期間終盤になり、スーパーバイザーより課題が発表された。その概要は前記の通りであるが、トレーニング期間終了まで敢えて内容が発表されないのは、特定の分野や製品に偏らずに、まずは事業部のビジネス全体を把握するべきという配慮からのようである。発表と同時に、期間も限られている関係上、範囲を広げすぎずにある程度フォーカスしてリサーチを進めるようアドバイスを受けた。

またこの頃、同僚のインターンY氏が隣のグループに加わった。Y氏とはその後お互いの課題の進め方について意見を交換し、また社外でも親しく付き合うこととなる。本年度のX社の日本でのインターンは数名存在したが、部署が同じというのは我々のみであり、その点において私は非常にラッキーであった。

第5週-第8週

トレーニング期間が終了し、インターンの課題も発表され、ここからは自分でプロジェクトを進めていかなければならない。私がまず取り掛かったのは、自分がリサーチする製品のマーケットの概要を調べることであった。厚生労働省のデータベースからドクターの学会誌まで、あらゆる資料と文献に頼りながら、マーケットのトレンドについて調べていった。ここで痛感したのは、医療業界においては定量的なデータが少なく、断片的な情報から全体を推測していかなければならないという点である。自分がフォーカスする製品の対象疾患が、様々な別の疾患から生じることもあり、マーケットの基本的な情報を揃えるだけでも多くの時間を費やしてしまうことになる。

マーケットの動きを把握した後は、そこから幾つかの仮説を導き出し、それを実際にリサーチにて確かめていくことになる。サーベイシートを作成するに当たっては、プロダクトマネージャーの方達から助言を得、時間の関係上多くの訪問件数が見込めないことから、QuantitativeよりQualitativeになるよう心掛けた。ここでは自社及び他社製品から対象疾患までの詳細な知識が必要になり、トレーニング期間で得た知識を十分に活用する。同時に医療業界への新参者としての、フレッシュな視点を失わないことにも留意した。

実際にリサーチを開始すると、営業の方達に同行することが多くなる。概してドクターは非常に多忙であり、手術の時間の合間を縫ってインタビューすることになる。予め設定していたアポイントメントが急にキャンセルになることも少なくなく、スケジュール通りにリサーチを行っていくことは大変困難であった。ドクターだけでなく、X社の営業の方達も多忙であり、時間を非常に有効に使っている。一日に車で数百キロ移動することも稀ではない中、フォーカスすべき病院を確実に訪問し商談をクローズしている。この仕事の進め方には、見習うべきことが多かった。

7月に入り、初めてX社の日本でのインターン全員が集まる機会を得た。前述のY氏とは同じ部署であるが、その他にコンシューマーカンパニーやグループ会社から、総勢で6名の会合であった。留学先の学校も様々である。インターンのプロジェクト内容及びその進め方については、同じ社内でもカンパニー若しくは事業部の中で大きく異なり、また期間も人それぞれである。共通しているのは皆、最後にプレゼンがあるということである。この集まりは、他のカンパニーや事業部について知る良い機会であった。

第9週-第12週

この頃になると、リサーチを続ける傍ら、プレゼンへの準備を始めるようになる。これまでに得たデータの分析を始めると、足りない情報がまだ多く存在することに気付く。それを受けてサーベイシートを修正し、またリサーチに赴くということの繰り返しとなった。北海道から中国地方まで、様々な病院を訪問して気付いたのは、同じ疾患に対しても地域によってその症例が異なるという点である。ドクターによっては、こちらからの質問だけでなく、疾患や医療についての詳しいご意見を積極的にいただける方も存在した。この点はリサーチの醍醐味であり、また自分の課題を進めていく上で思わぬヒントになることがあった。

自分の方向性がある程度固まってきた時点でプレゼン資料の作成を始め、スーパーバイザーから様々なアドバイスを受けた。発表範囲をあまり広げすぎずに、ポイントにフォーカスすべきとのことである。またプレゼンの前々日には、グループのメンバーに夜遅くまでリハーサルに付き合って頂いた。自分で組み立てたストーリーが相手にロジカルに聞こえるかどうかは、リハーサルを行ってみて初めて分かることであり、グループメンバーの協力には大変助かった。指摘された部分を更に修正し、直前に資料を完成させることが出来た。

プレゼンは社長を始め、人事部、自分の事業部のマネージメント、そしてスーパーバイザーの総勢8名を集めて行った。当日になって場所が予定されていた会議室から社長室に変更されたが、このことがかえってリラックスできる結果になった。プレゼンに先立ち、社長と面談する機会を得ていたのだが、その時と同じ場所だったということで、落ち着いて話をすることが出来た。参加者から思わぬ点で質問を受け返答に窮する場面もあったが、トータルで1時間に及ぶプレゼンの最後に全員からの拍手を受け、自分のインターンも終わりつつあることを実感した。

残りの数日で課題をレポートにして提出し、私のサマーインターンは終了した。当初のスケジュールより遅れながらも、課題を終えることが出来たのは、社内の多くの方達、インターン仲間、そしてドクターからのご協力によるものである。最後に送別会を開いて頂いたのも、良い思い出の一つとなった。

まとめ

12週間に及ぶインターンは、自分にとって以下の点で非常に有意義であった。

1. MBAの授業で得た内容を、実際のビジネスに応用していく方法を学べた

インターンにおいては、授業で学んだフレームワークやツールを、実際のビジネスでどのように活かすことが出来るのかということを常に意識していた。マーケティングリサーチやストラテジーの授業で学んだ考え方は、課題を進めていく上で特に役に立った。同時に実際のビジネスであるが故に、フレームワークよりも経験が重要な場面も多々あった。ドクターに面会しリサーチをしていく場合など、授業で学んだツールだけでなく、過去の営業経験に頼ることも多かった。

2. インターン先の企業の、実際の社風に直に触れることができた

同じX社の中でも、カンパニー若しくはその中の事業部によって社風は大きく異なると言われているが、自分がインターンを行った部門については、良い意味での個人主義が確立されている。各人は自分のゴールについてコミットメントを求められるのは当然であるが、それを達成する為に大幅な自由が与えられている。実際に自分もスーパーバイザーから、課題の実際の進め方については自分流で良いとのアドバイスを受けていた。また少数精鋭主義であり、各セクション共に限られたヘッドカウントで仕事をしている。従って個人のワークロードは自ずと重くなりがちであるが、プライオリティーを付け、皆スピーディーに仕事をしている。

3. 医療業界のビジネス構造を理解することが出来た

保険償還という独特の制度から、医療業界のビジネスは他業界に比べて大きく異なる。その特異性の中でビジネスのRecommendationを作り上げたことは、貴重な経験であった。

MBA留学中の夏休みのほとんどをインターンに費やしたことになるが、振り返るとその価値は十分にあったと実感している。インターン期間中はスーパーバイザーを始め、多くの方々に大変お世話になった。この場を借りて改めて感謝の意を表したい。また最後に、インターンの採用プロセスについて触れる。私が最初にアプライしたのは、前年11月のボストン・キャリアフォーラムであり、その後年明けに日本にて数度のインタビューを経てからオファーをいただいた。インターンシップ、または医療業界に興味がある方は、是非トライしてみることをお勧めする。

以上

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